ベルギー日記「番外編」
本日は、ダイヤモンドのベルギー日記番外編として書きます。
以前にガビ・ダイヤモンドをベルギー日記の中でお伝えした。
その中で、ガビ氏が原石を説明するのだが、使うツールはたった1枚。
その1枚にはガビ氏が今までに開発した独自のカットが記載されており、
そのカットを見せながら、「この原石なら、このカットのダイヤモンドになる!」「このカットは、この原石だと難しい」と絵を描きながら伝えている。
そしてそれは不思議と音符の形になっている。これには意味があったのだが、おそらく参加者の誰もが知らない。
このガビ氏は、以前にも述べたが、世界でNO1のダイヤモンドマスターカッターである。
このダイヤモンドカッターはベルギー王室からナイトの称号を貰い、世界NO1になれたのも、伝説的なダイヤモンドを2つもカットしたから(ロイヤルの称号を持つアッシャーでもエクセルシオー、そしてあのラザールキャプランでさえもヨンカーダイヤモンド1つである)でもあるが、それよりも数々の伝説がある。
現在、イギリス王室が所有している世界一大きなダイヤモンドは、南アフリカの首都、プレトリア郊外のプレミア鉱山(デビアスの息のかからなかった最初の鉱山)で発見されたものである。
1905年にプレミア鉱山で採取された世界一大きなダイヤモンドは、鉱山の所有者トマス・カリナンの名前にちなんでカリナンと名づけられた。
重さは3,106カラットで人の拳(こぶし)ほどの大きさであった。この世界一大きなダイヤモンドは9つの大きなダイヤモンドにカットされ、大きな2つのダイヤモンドはイギリスのエドワードⅦ世に誕生日のプレゼントとして献上(けんじょう)されたのも有名な話であるが、この鉱山から更に2つの世界
でNO1のダイヤモンドが見つかる。
(予断であるが「カリナン」を発見した当時、鉱山の現場監督の一人が、大きなダイヤの原石とは思わなかったらしくに窓から放り投げたと言われている。)
その一つが世界で最も品質が高く大きなセンティナリー・ダイヤモンド「273.85カラットで、Dカラー、フローレス」であり、その完成された美しい石が発表された時、「ニコラス・オッペンハイマー」が、「誰がこのような石に値段をつけることができますか?」と言ったそうだ。
そしてもう一つが、「ゴールデン・ジュビリー」という原石で、これは「545.67カラット!!」もあるダイヤとなり、それまでの「偉大なアフリカの星」、「カリナンⅠ」を抜いて、世界最大の研磨済みダイヤとなった。
「The Golden Jubilee 」とは「50周年記念日」のことで、それをカットしたガビ氏は醜いアヒルの子と名付けて可愛がったそうだ。
こうしてそれぞれ50周年記念や100周年記念で献上された歴史上に残るダイヤモンドをガビ氏は手がけた訳であるが、不思議なのは、世界で最も美しいダイヤモンドと茶色で汚いけど世界で最も大きなダイヤモンドが2つも同じプレミアム鉱山から出たことだろう。
さてさて、ここである逸話の話をする。
ダイヤモンドに光を当てて、その反射で音色を鳴らす事にガビ氏は拘っていたのだが、カットの綺麗なダイヤモンドが放つ光の音色は本当に幻想的な音がするそうだ。
ある時、目が見えなくなった人に、ガビ氏は、このダイヤモンドの音色を聞かせた。
すると、全く目が見えなかった筈なのに、その音色を元にダイヤモンドのカットの絵をその人は目の前で描き出したそうだ。
すると、驚く事に、その描かれた絵とガビ氏が手に持っていたカットされたダイヤモンドが全く同じ形になっていたというものだった。
そこでガビ氏は、例え目が見えなくても、ダイヤモンドには不思議なパワーがあり、それは心へと伝わるものだと確信したのである。
よくパワーストーンとか、不思議な魅力だとか言われるが、石には様々な力が秘められている。
科学では、まだまだ証明されていない事。
だから、昔の王族は、その神秘的な力に対して守護石としても肌身に付けていたのかも知れない。
これでベルギー日記は終了です。