アンダードッグ効果
今、入社1年目で驚異的な実績を上げている販売スタッフが現れています。彼女らの武器は「一生懸命さ」です。ベテラン販売員と比べると明らかに商品知識は乏しく、説明も判り易く流暢に話せないのですが、取り合えず、一生懸命に接客をし、必死にお客様が喜んでいただける提案をします。そして、買って頂いたお客様に対して気になるので手紙を書き、マメなフォローをする。その姿勢に、従来のお客様もベテランでは味わえない新鮮さを感じ、その人を応援したくなるという現象なのです。
これを心理学では「アンダードッグ効果」と呼ばれていて、昔、ロッキーⅣの映画で圧倒的に強いドラゴというボクサーが、ロッキーを何度もダウンさせて、ドラゴの応援で埋め尽くされた観客は、沸き上がるのですが倒されても倒されても立ち上がり、一生懸命に立ち向かっていくロッキーの姿を見ているうちに、敵であるはずのロッキーを観客が応援し出すというシーンがありましたが、人間は、弱いものや頑張っている人に対して同情を感じて応援したくなるものなのです。
「もっと私が上手に、この商品を説明できれば、きっと●●さんも欲しいと思って頂けるのですが、説明下手で申し訳ございません。もっと勉強して●●さんに興味を持って頂ける様に努力しますので、またご来店下さいね」という真摯な姿勢で対応してきた販売スタッフに心打たれることはあっても「バカヤロ!コノヤロ!」と怒鳴るお客様は、いらっしゃらないと思います。
しかし、人間にはプライドが、どうしても邪魔する為、学歴が高い人や自分は特別だと思
っている人にとっては、とても考えられない姿勢で、そういう人は自分を正当化する為に
相手を責めてしまいます。「この商品の良さを判らない何て、あの人はどうかしてる」「あ
のお客様は、冷やかしだから」という具合にです。
結局、自分がどうかしている事に一生気付くこともなく、そういう方は、売れることもな
く販売の本質が理解出来ていないのかも知れませんね。