混沌
商品の動きには、混沌(カオス)が存在しています。
例えば、ここに48000円の宝石が売れたとすると、帳面上には、紛れもなく100%、48000円の商品が売れたという事実だけが残ります。
しかし、そのお客様は、最初28000円の宝石を見ていて、その後、98000円の宝石にも目が行き、色々な販売員からのアドバイスで検討した結果、48000円の商品に決まったというのが、本来、現場で最も確認したい情報であり、販売の持つ混沌の部分になるでしょう。
メガネも同様に9000円レンズ付きセットがあって、月末に、この9000円セットコーナーの平均単価を出すと、普通は9000円になる筈なのですが、ほとんどのお店は、1万円以上の平均単価になります。何故なら、そこに宝石よりも判り易い、レンズのオプションというものが載ってくるからです。薄型レンズだとプラス4000円、非球面だとプラス3000円、更に撥水コート付きだと3000円、傷防止だと更に3000円、カラーを入れると2000円、調光や熱防止等々が接客の中で加わる為に起こる現象なのです。
この混沌の部分が、お客様にしっかりと価値が伝わっているのかやお客様の嗜好や温度を計れる一つのバロメーターとするなら、私達は、帳面上から、平均単価の異なる、この部分に注目しておきたいものなのですが、数字だけの確認で終わってしまっている経営者や店長の確認作業に不安を覚えてしまいます。
そして、これらのオプションは、お役所仕事的に販売員が、とりあえず話しただけで、決まるものでは決してなく、やはり「お客様の為を思って尋ねた」という形になっているかどうかの接客の質を見る上で非常に大切なポイントになってくるものなのです。