商売は戦略ありき
商売は戦略の中で動いています。限られた街の中で一番お客様から支持されているお店を1番店と言い、それに連なって2番店、3番店の地位が出来上がります。100万商圏以上の大都市において今まで3番店であったお店が急に1番店になるという下克上はなかなか起こりにくいものですが、10万商圏規模であると下克上は一気に起こります。この1つの例は、新たなお店の出店です。例えばメガネ業界であれば均一ショップ等のチェーン店が、知らない間に出来ており、チラシの乱発でお客様を持っていかれることもありえるのです。
最初で述べた商売は戦略という中において、新たな下克上を狙うお店にとって歴史も信用も持っている1番店と同じ商売の路線に立ったとしても勝てる望みは、ほぼありません。戦争と同じですから、その土地を知り尽くしている兵士と初めて上陸する兵士が同じ兵器で争っても勝てる訳がないことは明白です。そこで下克上を狙う新たな店舗は、1番店の最も嫌がることを仕掛けて来ます。それは、長年1番店が販売してきた価値あるモノを1つ1つ崩してしまうことなのです。ここで言う価値あるものとは、一つは商品であって、皆が認知しているブランドもその1つと言えるでしょう。
例えば私のご支援先で展開してきた人気ブランドフレームと同じ商品を並行輸入で仕入れて、それを商圏内で半額訴求をし、ブランド潰しにかかるのです。ブランドを潰し、自分達のOEM商品でしっかりと儲けることが鉄則だから仕方ありません。そこで1番店は悩みます。今まで販売してきた自店の人気ブランドの価格を下げるのか、そのブランドを辞めてしまうのか。ここで辞めてしまうことを決定してしまうと、新たに出店して来た店の勝ちです。そこが独占してしまうでしょう。
将棋でもチェスでも囲碁でも何でも先に頭に血が昇った方が、たいがいは負けます。
それは、それまで自分が思い描いていた戦略の歯車が崩れてしまうからです。一旦、崩れた歯車をもとに戻すには非常に力が必要になってしまいます。どんな時でも冷静に、
2年、3年先を見据えた目が経営者に求められることを忘れないで下さい。