小売店の使命
私のご支援先の時計店が2005年12月にロレックスだけで5000万円を売ったという報告があった。坪数はわずか10坪。一時期、ロレックスの並行が出回り、価格破壊の中、正規では、デイトナのSSやグリーンサブぐらいしか売れないと言われている中、正規で通常モデルを販売されているのだ。
私自身も個人的にロレックスは好きで、エクスプローラーⅠとGMTマスターⅡを持っている。しかし、最初からロレックスを購買出来た訳ではなく当初はバーバリーだった。キッカケは、ご支援先の店員に薦められてであるが、一応、誕生日の記念に買っておいたのである。そして購買後、最初に実施したことはロレックスがたくさん掲載されている雑誌を買い集めることだった。自分の購買したロレックスのモデルは人気があるのか?いくらぐらいで売られているのか?どんな機能や特徴があるのか?その他には、どんなモデルが人気あるのか?等々。このようにドンドン知識を吸収していくと、不思議なもので益々、ロレックスを購買したことに満足度と愛着が上がって来た。
そんな中、周りの人から「かっこ良い時計されてますね」と言われたら、雑誌で覚えた「ウンチク」が始まり、相手には迷惑かもしれないが、本人にとっては本当に買って良かったと思える価値の瞬間なのである。私は商売で最も大切なことは、この感情をお客様が抱かれるかどうかであるように思える。昔、「とんねるず」のハンマープライスという番組でタレントの使った様々なグッズをオークションしていたが、「何でこんなものが?」と思われる代物が、とんでもない価格で落札されていた。私だったら1円でもいらないものが、その落札した人にとっては100万円以上の価値として受け取られている。
この価値は決してお金で換算されるものではない。そして、この価値を伝えることが小売店の粗利高の意味なのである。この価値をお客様に合わせて伝える為には、お客様の情報や雰囲気、そして演出が必要になってくる。「この世に売れない商品は存在しない、意味を持っているから存在しているのだ」と顧問である船井幸雄が語っていた言葉の意味を当初は判らなかったが、自分の購買経験とその価値を上手く販売される声を聞くなかで、2006年以降の商売というもののヒントを把握できた。