仕事の質もボクシングみたいなもの
研修とかで僕は「意味を考えない仕事は、筋トレに過ぎない。ウサギ跳びやスクワットばかりこなしていても膝を悪くするだけで、それで試合に勝てる訳がない。」と言っています。
でも、誤解しないで欲しいことは、筋トレをしてはダメだと言っている訳ではありません。
例えば、ボクシングを好きな人だと誰もが知っているアジアの英雄マニー・パッキャオという選手がいます。この選手は、誰も予想できなかった結果をドンドン塗り替えアジア人ボクサーとして初の5階級制覇を達成したスーパースターです。昔のマイクタイソンよりも僕は凄いと思います。アントニオ・バレラを始めエリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスなど、名立たるメキシカンボクサーを撃破したと思えば、デビッド・ディアスに完璧な試合内容でKO勝利し、オスカー・デラホーヤ、リッキー・ハットン、ミゲール・コットをKO。そして本日、鉄壁の超人ジョシュア・クロッティまでも倒しました。
語りだしたらキリがないので、パッキャオの話は、この辺にしておきますが、彼の強さは明らかにスピードとパンチの量です。
デビュー当時は今より8階級も下のフライ級でしたので、それほどパンチ力に優れた選手というよりもスピードに乗った手数の量が驚異的に多い選手というイメージでした。
しかし、今では、そのパンチの量に質が加わり、手数の量にスピードとパンチの強さという質が合わさった事で、誰もが太刀打ち出来ないレベルにまで到達しているのです。
つまり、新人を始め最初の仕事の段階は量で良いのです。質を求められるベテランでも仕事で迷えば、この段階に戻れば良いのです。その代わり、そこにスピードを乗せなければ決して量はこなせません。
作曲家も、一曲だけヒットする曲を作っても、それは一発屋に過ぎません。長く語られる人というのは、その裏に何百曲という廃棄された曲の上に、そのヒットする曲が乗ってくるものです。
ロクでもないチラシを僕達は、何枚も書いて来ました。全く使えそうもない企画を一杯考えても来ました。今でも、何か一つの企画を考える前提として面白みも何もないものでも、まず書いてから始めます。
そして、それを書いたからこそ初めて、その満足出来る1枚に出会えたのです。
でも、素人になると、これが判りません。効率を重視して1枚書いて1枚をヒットさせる事を考えるから、一向に先へ進めないのです。
ボクシングで言うと奇跡的なカウンターパンチを待って、その一瞬だけを狙ってる選手と同じですね。
それを理解して初めて筋トレだけではダメだと言っている事を忘れないで下さいね。