語れる
僕は学生時代、硬派で通していたつもりだ。学校には教科書代わりに週刊ゴングと月間空手道を持ち、愛読書は、本宮先生の男樹という漫画であった。金八先生で流れた卒業式前の暴力で加藤優が連行されていくシーンの中に流れる中島みゆきの歌を口ずさみ、尾崎豊を勝手に友達だと思い込んでいた。
しかし、仕事柄、僕はジュエリーや粗品で使うスィーツに詳しくなり、女性販売員と一緒になって「可愛い~」とか言う様なカマカマ人間みたいなセリフを言い出している。
人間、月日が流れるのと環境というものは恐ろしいものである。まずは日帰り出家でもして心身を清めようと思う。
さてさて、最近特典でモンシュシュの堂島ロールを使ったイベントをする機会も多くなり、興味を持とうと思った。
まずは変わった店名から調べると、もとは“ Mon chou chou ”でなく“ Cendrillon ” ( =フランス語でシンデレラ、の意 ) だったそうだが、今はマイハニーの意味で使われている。
今では、行列が出来て、なかなか食べられない堂島ロールもオープン当初、売れずに、余ったものは捨てていたそうだ。しかし捨てるぐらいならと新地のクラブに配って回った結果、注文が起き出し、新地に顔を出す芸能人が宣伝してくれて広がったと聞く。
その堂島ロールの特徴は、通常のロールケーキのようにスポンジが「の」の字を描かず、ひとまきしただけの中に大量の生クリームが入っていることである。
それも効率良く、ロールケーキを大量に作るには、巻き込まずスポンジを減らし、生クリームを多く入れるしかなかったのだそうだ。それが他になくメチャクチャ美味しく、これだけの評価を得るスィーツになったのだから、発想というのは努力を精一杯して追い込まれて出て来るものなのかも知れない。
自分で書いていても、ここまで、よく判らないので、ここから伝えたいことをもう一つ書くと、あるメガネのブランドがある。そのブランドは結構な単価のするフレームでレンズと合わせると7万円近くになる。例えば、そのフレームを旦那さんが買って、家で奥さんに報告すると、奥さんは血相を変えて「アホか!何で7万円もするメガネを買うの!!!」と怒り出すのが常識だ。その時に、旦那が奥さんに対して「そう思うやろ~。俺も最初、そんな高いのいらんと思ったんや!でも、ちょっとこれ見てみ~。実は、これの凄いところはな・・・・・」と説明して「なるほど!」と奥さんも納得出来るだけのトークを販売員は伝えないとダメなのだ。そしてそれだけ語れるものがあれば、その商品は必ず売れ、口コミで広がると。
僕自身、堂島ロールは自慢じゃないが、今は語れる様になったが、メガネでそこまで語れるものがあるのだろうか??