参加型で売り込む
一昨年前頃から、団塊世代の市場が注目されている。しかし、中高年に達した団塊の世代を対象にしたヒット商品はなかなかうまれていない。団塊の世代は、若者と違い、広告などの仕掛けに簡単にはのってこないからだ。
① 団塊の世代は、探究心が強い
② 団塊の世代は、気が若く自分が中高年だと認めたがらない
団塊の世代向けには、「シニア向け」、「中高年用」と前面に打ち出しすぎないこと、そして実際に体験してもらいよさを感じてもらう、参加型イベントが有効のようである。
サントリーは、「ウイスキーセミナー」や「ウイスキー工場の見学会」を実施し、薀蓄好きの団塊の世代が、「参加する仕組み」を用意している。ある鹿児島の焼酎メーカーは、中高年のモニターに商品設計の段階からかかわってもらい、その過程をインターネット上で公開したり、感想を掲示板に書き込んだりして、酒造りに「参加」できる楽しさで人気を呼んでいる。ミズノはスポーツ店と協力して、中高年を対象にした健康教室を始めた。まずは、体を動かしてもらい、おなかを締め付ける圧力が低いシニアジャージなどの販売につなげようとしている。
メガネ店にとって、中高年を対象にした累進メガネの市場は非常に大きい。しかし、眼鏡出版のアンケートでは、遠近両用以外の累進メガネの存在を知らないと答えた人が7割以上も存在する。また、購入した累進メガネの度に問題がないと答えた人は、半数もいない4割であった。つまり、6割以上の人が度があわないなどの不快感を感じていることになる。
累進メガネを購入してもらうために、チラシやDMに“遠近両用セット15,000円”キャンペーン等の価格訴求だけの戦略は今後もう通用しない。累進メガネに対する入口を低くすること、購入後のフォローをしっかりすることが、累進メガネを販売していく上での必要条件になる。
例えば、累進メガネの情報をお客さまにきちんと伝えているだろうか?累進メガネの体験会を実施しているだろうか?また、購入後の相談会を実施しているだろうか?不都合があればお客様からいってきてくれるとの考えは甘い。度が合わないとお店に作り直しに行く人は、4割しかいない。つまり、残りの6割は累進メガネに対して不快感をもっており、永遠に自店で累進メガネを購入することはないだろう。
こうした取り組みは、すぐに売上につながらないかもしれないが、団塊の世代には広告のような即効性より、薀蓄や体感を重視することが大切だ。そして、低価格ショップや大手のメガネチェーンとの差別化ができる大きな柱となる。