先を見通す
今日、紀子様がお生みになられたお子様のお名前が『悠仁』と決まりました。“悠”という字には“ゆったり、おおらか”という意味があり、お子様がゆったりとまっすぐに育って欲しいとの願いから命名されたそうです。
子どもの名前の傾向は、その時代に強く影響されます。時代の風潮、考え方、出来事etc…戦前は、女性は、良妻賢母が望まれ、日本的なもの好まれています。また、物が不足している時代でしたので豊かの“豊”や“富”を使った名前が多くなっています。良子、富子、富美子など今では少し違和感を感じるのは、時代の流れが変化し私達の価値観が変わったからです。美智子様ご結婚の年は、“美智子”様にちなんだ名前、もしくはそのまま“美智子”という名前が増えました。その後の団塊ジュニアはお受験世代、ますます知性・教養が重要視され、人より優れる“優”、秀でる“秀”といった時代背景が名前にも影響しています。そして最近は、とにかく教養を子どもに詰め込んだ反動から、逆に子ども一人一人、人間一人一人の個性を大切にする風潮が名前に影響しています。当て字を使った少し変わった名前、“ことみ”ちゃん、“そら”ちゃんなどです。
私は、今回の悠仁という名前の字を見たとき、ロハス、スローフードといった時代背景を連想しました。戦後経済が急成長して、企業戦士になった人は、子どもに教育を受けさせようとお受験戦争に突入、その後は、教育だけがすべてではなく感じる心、一人一人の個性の尊重、そして後ろを押されるかのように走り続けてきた時代の反動から、ゆくっくり生きることの大切さに目覚め始めています。“癒し”、“萌え”が時流語ですね。今後は、現状の女性の社会進出の反動でもともとの日本女性の優美さが見直され、“雅”、“奥ゆかしさ”が、男性は主夫の出現など女性らしい男性が増えた反動で一昔前のツッパリ、ちょい悪だけど男らしい感じの人が求められるような気がします。もちろん子どもの名前にもその影響はでてくるでしょう。
商売をしていると、数字データから自店を分析することも競合店を調査して対策を立てることも必要ですが、世の中の流れ時流を感じ、先を見通す力も非常に大切です。地味婚が増えたから離婚率が上がり、派手な結婚式が流行した時は、離婚率は下がりました。派手な結婚式、盛大に結婚式をするとなかなか離婚できないんだそうです。最近では、地味婚から少し大掛かりな結婚式に人気がでてきたということなので離婚率は下がるのではないでしょうか。このように、世の中の出来事は色々な事象が結びついています。
眼鏡であれば、安売りショップが急速に増え、一般店舗でも価格を下げて売る現象が続いていました。若者を対象にしたスリープライスショップの増加による反動で値段の高い、コンセプト系の眼鏡を欲しいと思う若者も増えています。一方シニア向けでは、シニア向けスリープライスショップのような価格訴求したシニア眼鏡ショップがでてくる可能性は多いにあるでしょう。
ここで申し上げたいことは、安いものが売れているから自店の価格も下げるのではなく、安いものが欲しい層以外の人が増えていると予測したり、細見の眼鏡フレームが流行しているから、次は大きめの形が流行すると予測したり、先見の目を持って時流を把握することも大切だということです。