遠近両用セットのジレンマ
町で見かける若い女性のほとんどは、まだまだメガネを掛けていないのが現実です。
日本人は、諸外国と比較しても近視の比率が高いにも関わらず、メガネではなく、コンタクトが主流になっています。その為、私達のご支援先でチラシを巻くと、既にメガネを掛けている中学生や高校生の若い層か、コンタクトに移行しなかったメガネ愛好家達、そして50代以上の遠近世代の来店される傾向が高いものです。
20代、30代の層は、一体どういう目的でメガネを付けているかと分析して見ると、外ではメダリスト等2週間の使い捨てコンタクトを付け、家では、スリープライスショップ等で選んだ間に合わせ的なメガネを付ける人が圧倒的に多いことが伺えます。
そしてその世代が、次に普段からメガネを掛け始めるのが、子供が生まれた時か、50代になり、老眼を気にしだした時です。
大都市でない限り、間に合わせ的なスリープライスショップの様な品揃えだけでは、専門店として絶対に収益など出ず、経営を継続させることは、非常に困難です。
その為、累進をしっかりと販売提案していかなければならない事は明白です。
そして、その40代、50代の最初に累進を造るお店を自店に持っていく様にチラシをまき、そこから生涯顧客へと育てて行くことが出来なければなりません。
そこで最初のハードルを低くする為に、お試し価格という形で1万5千円や2万円のセットで訴求するのですが、ここにジレンマがあります。
通常、1万5千円で遠近セットを作ろうと思えば、HOYAのメーカーだとGPを使うお店が多いものだと思います。GPは、言わずと知れた球面設計で、近くと遠くのアイポイントの差が14ミリとなっていますので推奨として天地巾35ミリになります。
40代、50代、更に60代でさえも昔と異なりドンドンと若い感覚になってきているのにも関わらず、最初に作る遠近両用メガネに対して天地巾35ミリもあるメガネに興味を示して頂けるでしょうか?
普通、一気に老けてしまうので避けますよね。
やはり天地巾が28ミリ程度の今風のメガネに対して興味を持たれる事でしょう。
そうするとサミット等のCDで非球面設計のレンズでないと近用部分のアイポイントが途中で切れてしまうかも知れないのです。
こんなことは、入社したばかりの販売員さんでもご存知なことですが、しかし、実際にお客様のニーズを考えて2万円で非球面の遠近セットを準備出来ているお店がどれだけあるでしょうか?
ハッキリ申し上げて●鏡市場や●万円堂は、これが出来ています。
これは、ディスカウントだとか、そんな問題ではなく、40代、50代の累進を付け出す最初の窓口で自店が、他店と比較して魅力を出せているかどうかの根幹だと思います。
もし、皆さんの近くに、これらのチェーン店が存在しているのであれば、この世代を取り込まれてしまう可能性が懸念される為、しっかりと次の手を検討される必要があるでしょう。