見込み客をたくさん作ることが大切
今日は、宝石屋さんの話をします。宝石屋と言っても色々なタイプのお店があります。例えば、オーダーメイドで商品を作ることを“ウリ”にしているお店、もともと宝石メーカーだから商品がとにかく安いことが“ウリ”のお店、自店のオリジナル商品を“ウリ”にしているお店、強力な自社のブランド力を“ウリ”にしているお店等々。自店はどこを“ウリ”にしていますか?どこで他店と差別化していますか。差別化できるような特徴のあるお店はお店のブランド力があります。でもこのような特徴がある強いお店は、宝石屋全体で考えれば極わずかです。では強力な“ウリ”のないお店にとって何が重要なのでしょうか?それは接客力です。
あるショッピングセンターに2つの宝石屋(仮にA店とB店とします)が隣同士にありました。A店、B店とも全国チェーンの有名店でしたが、この小商圏の中でどういう棲み分けがされているのか、ターゲットわけがされているのか非常に興味があり、2店舗にブラッと入り商品を拝見し接客を受けました。滞在時間は30分~1時間あまりと細かい商品チェックまではしていませんが、まず大きな違いとして商品構成の違いがありました。2万~3万の商品を前面に打ち出しているA店と、比較的高額な商品の品揃えを充実させているB店。商品の価格帯ゾーンが違いました。つまりB店の方がこの商圏内、このショッピングセンターに来店されるお客様の裕福層を顧客にしているということが一瞬でわかりました。その理由は何でしょうか?確かにB店の方がお店のブランドネームが強いというのも事実です。しかしそれだけが理由ではないと思います。A店とB店では接客にかなりの差がありました。高額な商品を充実させているB店の接客は非常に参考になりました。私はこのお店の接客がなぜよかったのかその理由を約20個挙げましたが、ここでは長くなってしまうので詳細は後日お話するとして、今回はそのうち一つについてお話します。
B店は、とにかく見込み客作りの取り組みが優れていました。初めてお店に入った私は、ネックレスを装着しました。そうすると突然ポロライド写真で写真を撮られたんです。初めはただビックリしたんですが、これは顧客の名前と顔を一致するために写真を残しているのだと思います。見込み客作りの第一歩は、お客様の顔と名前を一致させること。そのために写真を撮っていたのです。(皆様は顔と名前が一致するお客様はどのくらいいますか?顔と名前が一致するお客様が多い人ほど確実に接客がうまくよく販売する販売員ですよ。)
更に私は、“たまたま仕事でその町に来ただけで地元の人ではないからもう来ることはない”と言ったにも関わらず、大阪での催事の時に連絡させて欲しいと会員登録をすすめられました。会員になると全国どこの支店でも対応できて一生涯お客様とお付き合いできるというのです。
たまたまその町に来た人すらも見込み客にするために、写真を撮り顔と名前を覚え、まだ何も購入したことのない私にも一生涯お付き合いしていくお店になりたいとカードを勧める、その姿勢に私は正直少し感動しました。もちろんここまで話が進むまでのトークもスゴイのですが・・・
何十万もする高額な宝石は普通の人であれば、頻繁には購入できません。だからこそ宝石屋は見込み客の数を増やしていくことが大切になります。そして更に小商圏であればいかに多くのお客様を一生涯の固定客にするかがお店の将来の売上に大きく関わってきます。
つまり、新規のお客様に対しての考え方で重要なのは、初回に必ず商品を買ってもらうことではなく、お客様の嗜好や気に入っていた商品等の情報を多く収集すること、顔と名前を覚えることだということです。それがあれば、お客様の趣味に合わせた商品の紹介をしたり、お客様に合った催事をご案内したりお客様を再来店させるチャンスをいくらでもつくれます。自店に来店された新規客の全てに対して、1回商品を購入してくれたらよかったではなく、今後一生涯付き合えるような情報を収集することが必要なのです。