俺らにとって店は宝物なんや
以前、あるメーカーがアクセサリー商品を作りました。そのメーカーは特に宝石に強いという訳でもなかったのですが、ある商品を見た時に自分でも作りたいという思いが高まりシルバー半貴石を使ったアクセサリーを立ち上げました。しかし、販路もなく、飛び込みの新規開拓では、無名の会社がアクセサリーを小売店に売り込みすることは難しく世間の厳しさに対して途方にくれてしまいます。しかし、既に商品はある程度作ってしまっており、生産コストはかかっています。そこで委託条件(商品を店頭に置いて頂き、売れたものだけ買取して頂くシステム)であれば、小売店にとってはリスクがない為、導入してくれるだろうと高をくくっていました。そしてその時、自分の知人にその話を持っていったところ目の覚める一言が出てきたのです。「●●は友達やから言うけどな、俺ら小売店にとって店は宝物なんや。だから本来は自分の好きな商品ばかりに囲まれてお客さんを迎え入れたいもんなんや。そんな中に自分が好きでもない商品が置いてあってみ。凄く気になるやろ。折角、作った店の雰囲気がそれだけで台無しになってしまうんやで。確かに俺らの商売は好きなものばかり構えても繁盛店になんてならへんし、お客さんの変わりに仕入れしているという発想が大切なことは判る。そやけど、そんな風に思っているオーナーが結構多いという事実を知っておかなアカンで」。
これをキッカケに、その会社は生まれ変わります。自分達の商品に魅力を付けなければならないこと。もっともっと研究して、まず自分達自身が、その作り出した商品を愛さなければならないことを。全ての戦略は心から始まるのです。