目先の損失に耐える時
私達の周りを見渡すと、ほとんどが小商圏(5万人程度)の中で商売をしています。本日、お伺いしたお店もそんなお店です。またこの商圏というものは、競合店が出店してきたり、ロードサイドの開発が起きたり、大型モールが出来たり等々、もろもろの環境によって増減し、移動するものです。つまり、お客様が絶えず、周りに居る確信はなく限られた条件とパイの中で信用を売った商売をしているのです。しかし、時々「ヒヤ!」とする様な接客に展示会等で遭遇したりします。明らかに傍から見ていても、そのお客様は店員の接客に悩んでいる状態でした。そのお客様の心情としては、「他店に行けばもっと気に入った商品があるかもしれない。ここで無理に買ってしまっても」という感じなのかもしれません。しかし、店員は、諦めず必死にお勧めしています。この店員の心情としては、「この接客を台無しにしたくない。次のお客様に行けば、また一から労力を要するし、私の対応を店長がチェックしている」等々と言ったところでしょうか。結局、そのお客様は、「仕方ないわね」という表情をしながら買って行かれました。きっと、目の前の店員が長い時間を掛けた熱心な接客を断る気まずさよりも、その商品を買って、心から気に入ってなくても多少、我慢する方が、マシだと思ったのかも知れません。確かに、そこで売上を取ることは、商売においての効率を考えると必要なことなのかもしれません。しかし、長い目で見た場合、そのお客様を今回で永遠に失ってしまうかもしれない危険性も存在しているのです。
商売は何年も続いていくものです。それも限られたパイの中で信用を築いていくものです。1年、2年で商売を終えるつもりであれば、焼け畑農業の様に、次の土地を探せば良いのですが、そんなことを望んでいる人などいません。自分のファンを宝石やメガネを通して作っていくのであれば、時には目先の損失に耐えることも出てくるでしょう。
しかし、最も怖いことは、このお客様の心情を読めなくなり、感謝することもないまま、テクニックとして当たり前になってしまうことです。