購買経験指数
1976年に業界を折檻するジュエリーマキの1号店が立ち上がる。
1979年にはマキが展開するカメリアダイヤモンドチェーンの出店ラッシュが始まりだした。
そして瞬く間に1980年の前半には150店舗を全国に展開するようになり、業界を引っ張ったのが、実質宝飾業界の転換点になった。
マキが凄かったのは、それまで宝飾品というのものにおける観念として存在していたホームユース(所謂、家で所有するもの)からパーソナルユース(自分の意志で購買できる)ものにしたところであった。当然、それまで海外のグランサンクの様に貴族や階級の高い富裕層が所持していたものをピアスやプチネックレスという安価なものを開発し、ちょっと手を伸ばせば購買出来るものとして一気に市場を変えたのだった。
そして1990年に2兆8000億円と3兆円産業にまで、宝飾業界はマーケットを拡大した。
置けば売れる。チラシを打てばお客様が開店前から列を作って並び、100万円近くする色石も即完売。整理券を配り、お客様が押し寄せて什器が割れる事もあった時代。
あれから何年経ったのだろうか?
あの時代を経験して来た購買層も今では50歳以上になっているだろう。
我々はマーケットサイズで、それぞれの商品における需要の大きさを見ている。
ここではマーケットサイズの説明はしないが、仮に貴金属を主体としたプチネックレス(ダイヤモンド、カラーストーン、地金を含むファッション感覚のネックレス)のマーケットサイズは、約3000円で想定している。
ここで、どれぐらいの期間で購買するかを測る購買頻度指数を出すと
マーケットサイズ÷平均単価×1世帯当たりの指数2.3=購買頻度指数なので
3000円÷30000円×2.3=0.23が出てくる。これだと判りにくいので1÷0.23で4.34になるので、大体4年に1本ぐらいの割合で人は平均的に購買していると仮説が立つ。
25年ぐらい前なので
購買経験指数=25年×購買頻度指数(0.23)+1という公式に当てはめると、6.75.
つまり、今もっているネックレスの類は、お客様が6本目、あるいは10件のうち、6人は6本目で残り4人は7本目ということになる。
まぁ~あくまでも仮説であるのだが。
さて、そこで何をいいたいかと申し上げると、購買経験を重ねていくと人は詳細までイメージ出来るようになってくる。
現在の宝石店における主要顧客は50代以上である。彼女らは、10代から始まり20代、30代、40代と宝石を購買してきた経験を積んで今に至っている。
仮に僕らがYシャツを購買する時にユニクロだったら980円ぐらいのシャツでシンプルなのものを想定する。出張先で最悪捨てても良いかなぁ~と思えるならユニクロで買う。
スーツカンパニーとか、紳士服店では店頭にバーゲン的なもので3000円、5000円ぐらいだと相場ぐらい、1万円から1万5000円ぐらいだと採寸をしたセミオーダーメイド。2万円以上するならブランド品みたいな感じで価格と価値が見えてくる。
つまり、価格と価値が見えてくると言うことは、お客様の要望が、より細かくなるという事である。
仮に、2万円のプチネックレスの製品があっても、チェーンがカットボールだと、一度でも切れた経験を持つ消費者は、それだけで買わない理由になったりもする。
我々は、今後、購買経験を積んできた方に魅力を持った商品を購買していただく事が前提となっている。50代以上が主流と考えるならば、6本から7本は少なくともネックレスを購買して来た経験を持つ層である。
NOと言わない専門店ならではの対応。それが今後の鍵を握っているのである。