人生にティファニーを
パソコンのカーソルは斜めには動かない。
最初に横に動かしてから上へと持っていく。
売上を上げようと思うのなら、まず、横に移動させる事である。そして、じっくりと動きを見据えて体制が出来だしたとき上へと浮上するものである。
ここで重要な要素は、まずは横に移動する事、つまり、現地点から変化の行動を起こす事から始まるという基本概念を理解しなければならない。
悲しい事に、その立ち位置のままでは上には行かない。
さてさて、日本には100年以上、続いている会社が帝国データバンクに登録されているだけでも、22219社あると言われている。
ダントツで世界一、歴史を持つ老舗企業というか老舗的な会社が多い。
それらは、目先の売上に走っている時もあったかと思うが、じっと将来を見据え横に動いていた時間をどこよりも多く作ってきた会社とも言える。
どんなに今はマスコミや業界関係者の中で、取り上げられたとしても、10年も経たないうちに、ほとんどの会社が消えてしまっている。
その中で、残っている会社は、やはり「自分のありたい姿」「自分らしさ」をしっかりと明確に出し、それをひたすら伝え続けてきたところではないかと思う。
例えば、宝石でティファニーというブランドがある。
ティファニーと言えば、「ティファニー・ブルー」といわれる少し緑がかった落ち着きのある青い箱が思い浮かぶのだが、 1906年のニューヨークサン紙にこう書かれていたそうだ。
「ティファニーには、どんなにお金を出されても決して売らないものが1つある。…ただし顧客が商品を買うと無償で提供される。それは、ティファニーの名が冠された箱である。責任を持って製造された製品が中に納められていない限り、その箱をお店から持ち出してはならないという創設以来の厳しいルールが、貫かれている。」e=”FONT-FAMILY: "HGP創英プレゼンスEB","serif"”>と。
つまり、あの箱は、ただの青い箱かも知れないが、その箱自体が信用というブランドそのものであって、商品において確固たる信念を持った顧客との約束の証であるという事なのだ。
そして、そのコンセプトは
「A LIFETIME OF TIFFANY~人生に、ティファニーを」
人生の節目に幸せを分かち合う時には、いつもティファニー(あの青いケースに入ったもの)が側にあるというコーポレートメッセージに想いを託している。
ある女の子が、最初にお父さんや彼氏にプレゼントされたものが「ティファニーのオープンハートのネックレスやリング」。
オープンハートは、ティファニーのデザイナーとして1947年から活躍した、エルサ・ペレティによる傑作中の傑作になる。その意味は、愛する人や大切な人へ心の扉を開くという意味があり、ジュエリーの扉が開くところを想定している。
その他にもアトラスやリターントゥ、パロマピカソなど、シルバー商品があるのだが、予算は大体2万円~3万円ぐらいで買える形になっている。
そして結婚する時に、その女の子は、ティファニーが欲しいと思う。
自分の今までの人生における大切なシーンにティファニーが側にあったからだ。
子供が産まれると、ティファニーにはベビーリングや銀のスプーンなどが揃っている。
そして母親になり、記念日や自分のご褒美に一粒のダイヤネックレスから今度はティファニーのジュエリーへと移っていく。
そしてジュエリーに触れるうちに、価格帯が上がり、その本来のティファニーが持つ繊細な造りに感動していく。
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という流れというかストーリーが想定されている。
確かに、ティファニーと同じ商品を甲府にあるご支援先のメーカーさんで造る事は可能だし、おそらく価格は半分以下で出せるかも知れない。
(日本一安く、技術があると確信しているメーカーである為)
しかし、ティファニーのブランド価値は、そういうものではない。
やはり、あの青い箱とロゴと信頼にあるからだ。
恐らく、今後、日本中に大量販売を想定した大量生産品が出回ってくる。中国から撤退してもベトナムやフィリピンなどへ工場を移し、技術を持たない職人を安い人件費で稼動させて行くだろう。
そして日本は100%関税撤廃を見込んだTPPという貿易自由化が始まり出す。
我々、専門店は、決して、その波には飲まれない覚悟を持たなければならない。
その為にも、自分のスタイルをしっかりと定め、自社の商品を通した顧客のライフスタイルへのストーリーを明確にしていく事が求められるだろう。