専門店の姿勢
店の価値って、売上とか、人員とか色々あるだろうけど、実際は、その店が得たものでなく、その店が人に与えてきたもので測られると思う。
つまり、メガネを通してなのか、宝石や時計を通してなのかというモノは色々あるけだろうけど、それらを通して、どれだけの人が価値を提供されたと感じられるかどうかだ。
例えば、また専門的な話になるが、遠近両用レンズという1枚のレンズに遠くと近くを見れるものがある。しかし、1枚のレンズに2つの機能を入れている訳だから当然、両端にレンズによって像ができるときに発生する色づきや、像にボケやゆがみを生じる収差が生まれる。
その収差一つとっても、メーカー商品によって設計の仕方が異なるため、最高級クラスのレンズにしても、こちらから設定を指示し、出来る限りお客様の目に合わせた商品に仕上げていくのだが、そういう設定が出来るという事さえ、知らないお店が沢山ある。
つまり、設定を指示しない限り、パッケージ的な展開しか出来なく、商品というツールを活かしきれていないという事になる。では、メーカーが、しっかりと教えてくれれば良いじゃないか?と思われるかもしれないが、メーカー側からすれば、そういう設定が出来る事ぐらい、書いてあるし判るでしょ!イチイチ教えてられないよ!という姿勢なのだ。
メガネというのは二度作られるものだ。
一つは、店頭にフレームやレンズが並んでいる半製品。もう一つは、その商品を使って、お客様の目を測り、自分達の持つ知識や技術を駆使し、お客様の顔に合わせたメガネに仕上げるという事だ。
現状は、どうか判らないが、専門店で何十年間もお客様の目を測り、技術を持つ店員と、機械だけに頼り、チョチョチョイって感覚で5000円セットとかを20分で作ってしまうところとは、料理に対する考え方が根本的に違う。いわば牛丼屋と懐石料理ほど違う。
しかし、悲しい事に、折角の武器が揃っているのに、それを提案している人の知識不足で使いこなせていない現状が出てきている。
綺麗な花を飾ったから、誰か人を家に招こう。
凄く美味しい料理を覚えたから、今後、誰かに食べてもらおう。
自身があるから、人に見てもらいたくなる。人に提供したくなる。
この姿勢が価値を生み、相手に伝わっていく。
専門店は、こういう姿勢を持ち続けていたい。