変わらないもの
新たな事を始めるには勇気がいる。
きっと、頭を抱えて落ち込むこともあるだろうし、恥ずかしい想いを沢山するだろう。
人からバカだと非難されるかも知れないし、変な噂を流されるかも知れない。
でもね、新たなことをしていかなければ、新たな世界なんて見えないし、自分が見える視野は広がらないものなのだと思う。
伊勢神宮は、よく凄いと言われる。何が凄いかと言うと何も変わらないのに、全国から人が沢山集まる。同様に人を集めるディズニーランドの様に沢山の人を雇って、研修して、何百億という経費を払ってアトラクションを新たに造り、莫大な宣伝広告を払って、ようやく集客をしているのにも関わらず、伊勢神宮は広告宣伝みたいなものは一切していない。
また、アトラクションが故障して止まったり、人が無作法な対応をしてしまったり、人数が多すぎて目的のアトラクションに乗れなかったりするとクレームが起きたりするが、伊勢神宮にお賽銭を入れて、願いが叶わないからと言って、誰も文句を言う人なんていない。
実は、そんな伊勢神宮だが、その精神は「常若」にあるのだ。
つまり、時代や精神を継続するには「常に新たに、日々に新たに」という意味で、時代に合わせて変わって行かなければ1300年という時代の中で、とても継承されてなんていけないと伝えられている。
今回、20年に一度の式年遷宮という建て替える儀式があるのだが、イベントは、全国のどんな神社よりも多く、年間に1500回以上している。
神宮に携わる神職は、200人以上、関係者を入れれば500人以上のエキスパートが存在している。
2000種類以上のご装束や500点に及ぶ御神宝や神具も全て新たに作りかえられる。
この式年遷宮に掛かる費用は、550億円。造営に必要な木材は1万本、萓は13000束と聞くだけで気が遠くなる。そして、これらに対して国からの補助なんて1円もない。
言いたい事は、一見不変に見えるものでも、不変でなく、常に新たに変化していきながら不変な価値観を与えられているという事なのである。
お店の本質も、ここにあるのではないだろうか?
お客様が安心して信頼を持って来店できるお店。それは、技術もそうだが、ファッションや鮮度も含めての事である。
お客様から言われる「この店は、いつも変わらないから安心するわ」という言葉の本質には、新たな事へのチャレンジした結果、出てくるものだと思う。