損得よりも善悪
あるメガネ店舗が、先月オープンした。
セレクト的な商品から揃え、セット商品も充実させた。
ただ、その店舗が出店した場所は、某大手メガネ店の本拠地でもあり、横槍が入った。
つまり、取り扱い予定になっていた商品のメーカーに圧力をかけ、主力に考えていたブランドフレーム(イチロー等が掛けているスポーツ系ブランド)が入らないという事態が起こったのである。
先方の社長は、メーカーに頭を下げて頼み込んだのだが、店舗規模が違う。何十年と、その商品を扱っていたとしても、営業サイドは、即答で規模を優先させてしまった。(相手も必死やしね)
そんな中、メインで取り扱う「掛け心地に拘ったブランドフレーム」も、圧力がかけられ、ほぼ無理だと諦めていた。
事前に僕のところに来た社長からのメールも「明日に返事ありますが、●●●●は99%入らないと思います。悔しいですが仕方ないですね」と書かれていた。
しかし、なかなか、そのメーカーから返答が来ない。仕方ないので、そのメーカーに社長が行き、状況を聞きに行く事にしたのだそうだ。
そこで担当の営業と昔から知っていたTさんと話をすると、案の定、その競合店から圧力がかかっているとの事。相手は何十店舗と展開している大手、自店は2店舗しか展開していない弱小店、勝敗は見えている。
担当の営業が必死に「●●さんに商品を入れて下さい」とTさんにお願いしても、商売としては、相手を取った方が、会社として賢い選択だと言うことは誰にでも判る。
社長は、それを理解し、その責任者のTさんに「判りました。うちは大丈夫です。これだけTさんが頑張ってくれたのですから、それだけで十分です。会社としての事情も判りますので、そちらを優先して下さい」と伝えました。
しかし、その後、そのメーカーさんは、なんと損得よりも善悪という話ではないかも知れないが、自店に導入したのである。
そして、普段、なかなか動かれない、そのメーカーさんは、オープンに、何人かで応援に掛け付けてまでくれた。
ize=”3″>「●●さん、良かったですね。こんな素敵なところに出せて。今まで過去、色々なオープンフェアに立ち会ったのですが、ハッキリ言って、こんなにお客様が大勢いるメガネ店を見た事がありません。同じフロアには、J社の中でも日本一売上を上げている店舗が入っているのに、凄いです」
みたいな事だけ、伝えて帰られたそうだ。
確かに、オープン初日のお客様の数だけで50組以上は販売されていたので、少ない販売スタッフでは、ゆっくりと話している時間もないので、仕方ないのだが、後になって、自店に導入すると決めた要因は、あの時、社長が言った言葉だったそうだ。
本日、その店舗に支援に行っていたので、店舗や状況を確認して来たのだが、本当に、これから更に素晴らしい店舗になる予感がする。
世の中には、素晴らしいメーカーさんがあるものだ。
損得は、その場限り。でも善悪は、永遠に残る。