営業
あるメガネフレームの営業の話である。
その営業が8月に自店にやって来られたところから物語は始まる。
駅からおそらく車で5分ぐらいは最低かかるところをその営業は、歩いてやって来たそうだ。
真夏である為、シャツは汗でビッショリ濡れており、話しながらも何度も何度も汗を拭っていたそうだ。
自店としては、そのフレームが高額な事もあって、年間に数本しか販売していなかった為、営業が販売状況の確認に来たのだろうと思っていたのだが、会話は、ここまで歩いてきた中で見た街の話や地元の神社等の話をしていったそうだ。
終始、営業は販売実績の話をするのでもなく、販売を促す言葉もなかったそうだ。
そして、後日、一枚のハガキが営業から送られて来た。
そこには、お伺いしたお礼と頑張ってくださいねという様な事だけが書かれていた。
ここまでは普通の話だが、この後、この店では年間数本しか販売していなかったフレームを1ヶ月に7本販売したのだ。
1本、おそらく10万円はするフレームだから、なかなか容易ではない。
そこで自店が実施した事は、営業がその時、置いていったフレームの写真が入ったハガキがあったので、自店の顧客の中から、そのフレームが似合うであろうお客様、既存で持っていても再度、薦めてみたいお客様を30人だけピックアップした。
そして、そのハガキに手書きで1枚1枚コメントを入れて送ったのだ。
30枚で7人の購買。レスポンス25%。販促の経費は郵送費のみ。
ass=”MsoNormal”>営業は、売らんかなの言葉を一切抜きに、見事な営業をして行き、自店に自信というお土産を置いて行ったのである。
やっぱり、大切な事は意識だ。自店では、それまでそのフレームを売れないと思っていたのではなく、高額という思い込みの中、提案していなかっただけなのかも知れない。
本日、お伺いした時には、その店の棚に新たなレンズ提案のDMがあり、そのどれもに、一言ずつ、お客様への手書きコメントが付加されていた。
ここ5年ぐらい僕は、営業という営業から遠ざかっている。
今日も、19時に新大阪に着くと、東北からわざわざ、支援の依頼に来られて改札で待っていて下さっていた。
ご飯をよばれて、そのまま明日の朝一番で帰って行かれるとの事。
また、来週も別のお客様が、依頼の件で北陸から東京までやって来られる。
それでも依頼を受けるかどうかは、検討して決めるのだが、既存のお客様の時間と新たなノウハウを考える時間も決して欠かせない事である。
本当に有難い事だけど、これに甘えては行けない。自分の心に大切な要素を刻み込んだ。