心の支え
小さい頃に影響を受け、今でも自分の人生に影響を与え続ける小説というものを誰もが持っているものだと思います。僕の場合ですと「ベニスの商人」や「星の王子様」等々が今でも脳裏に刻まれているのですが、皆さんは『一切れのパン』(F・ムンテヤーヌ著 / 直野敦訳)という小説をご存知ですか?
本日も東京での支援を終え、帰りに新幹線で某漫画を読んでいて久しぶりに思い出した小説です。
確か、この小説は、弱々しい老人であるラビさんが、自分は助からない事を判りながら、殺されるという極限状況の中で「人生最期の大嘘」を一発かまして、主人公に生きるすべを授けたという内容だったと思います。
もう少し簡単に内容をお伝えしますと
第二次世界大戦中の話でドイツ軍に捕らえられた主人公が列車に押し込められてどこかへ輸送されそうになります。しかし、その途中に腐った板を見つけ、そこから仲間たちと脱走を試みるのです。そして列車を離れるその際に列車にいたユダヤ人のラビさんが、主人公にハンカチにくるまれたものを手渡してくれます。
「この中には、パンが一切れ入っています。何かのお役に立つでしょう」と。
列車から逃亡した主人公は、自宅を目指すのですが、途中で何度も何度も絶望的な気持ちに襲われる中、ラビさんから貰った一切れのパンが心の支えとなって、何とか危機を脱することが出来たのです。
そしてついに、妻の待つ自宅に無事帰り着いて、自分をここまで支えてくれた、そのハンカチに包まれたパンを出そうとすると、ハンカチの中には一片の木切れしかなかった。という話です。
人は、何か大きな目標を掲げ、それに向かおうとすると、必ず大きな障壁と言うものが、出てきます。仮面ライダーやウルトラマンの様なヒーローであっても、順風満帆でなく苦難を乗り越えて初めて平和を勝ち取っているものです。
商売も同じです。宝飾業界だと地金の高騰、ヒット商品の不在、主要顧客の宝石離れ、クレジットの総量規制等々、障壁は起こり、誰もが途中で迷い、前が見えなくなる時もあるでしょう。
でも、そんな時でも、この小説に出てくるパンの様な「心の支え」が、障壁を乗り越える自信や勇気へと繋がってくるものだと思います。
そして、その支えを作る大きな要素は、今まで自分が何度も何度も苦難を乗り越えてきた経験に過ぎないのです。
あなたの「心の支え」=「一切れのパン」は、ありますか?
だったら大丈夫。きっと、どんな課題も乗り越えられるでしょう。