立地を作るのは自店である
立地を作るのは、自店である。
一番商品を自店が持っているとすると、その立地を作っているのも自店になる。
昔、昔、ある宝石店がオープンしました。
その宝石店の事は、誰も知りませんが、周りを見ると名だたる有名店に囲まれています。
その宝石店の経営者は考えます。
普通の事をしていても、お客様は当然、今までに認知されている有名宝石店に行ってしまうだろう。差別化しようと独自固有の宝石を扱っていても、それが広まって売上に大きく貢献するまで約3年は掛かってしまうだろう。
そこで、その宝石店は思い切った手段に出る。
粗利ミックスを考え、全体の利益率を35%にまで落として勝負をかけた。
チラシには競合他店の強みを叩く目的を持つ日替わり商品を掲載し、ディスカウント商品の集中掲載で圧倒的な集客を狙う。日替わりで集客した45%以上の人が、他の商品も一緒に購買される対策を練りながら、来る日も来る日もチラシや新聞で集客をかけた。
最初は、有名メーカーなんて見向きもしてくれない。その為、足や情報を使って、現金を握り締め1円でも安く買える掘り出し物を探しに、毎週、毎週、御徒町に出向く。
よく、オープンの時に強烈なチラシを入れるのには、理由がある。
それは、お客様が来店される姿を見て、「ほれ、見てみなさい。お客様は新聞の折込チラシをしっかり見てますよ」という確信を社員やスタッフ一堂が得るためである。
年間1億で粗利益率が50%だと5000万円。年間1億5000万円で粗利益率が35%だと5250万円。
初年度は、1億5000万円を狙う。率ではなく額として、このマーケットを狙う。(自店がマーケットを取るという事は他店のマーケットが下がる)
つまり、自店が売れるという立地を作ったのである。
2年後、その店は利益率を10%上げた。
でも、そこには自店の顧客が既に生まれている。
馴染みの顧客も出来て、良い商品が店頭で売れ出すため、売上は落ちるどころか、逆に上がった。
今の時代に、このやり方が良いかどうかの判断は、皆さんに委ねることにするが、今後、消費税が上がると、立地と品揃え(量、数、巾、質)が充実していると思われるお店にお客様は向かう。失敗を嫌がるからだ。
中途半端は通用しない。
売れる立地を作るのは、誰でもない。自店だけなのだから。