意外性
今年の活性化におけるテーマの一つとして「意外性の訴求」がある。
昨年の様なワールドカップやオリンピックの様な、国を挙げての大きな催しがない年には、ちょっとした刺激を出して行くと目立つものなのだ。
人の記憶における本質は、感情にある。
辛かった事や嬉しかった事、その時の感情が強ければ強い程、一生忘れない記憶として残るからである。そしてその感情が高ければ高い程、それを思わず人に言いたくなるものである。
今や情報を伝える手段として、この様なブログやツイッターやフェイスブックみたいなものが一杯ありますから、伝わり方は半端なく早いと思います。
つまり、小売店サイドから見れば、これらを商品導入や店舗作りを含むサービスで新たな刺激を追及し続ける事が、店の活気を生む秘訣となるのです。
昔話であるが、僕の好きな物語の中に「墨俣一夜城」というものがあります。
大河ドラマとかでも結構出ていて、皆さんご存知の話だと思うので簡単に説明すると
「今まで配下の将が二度までも失敗した墨俣城築城。それを秀吉に信長が命ずる。目の前
には美濃三人衆の重鎮である稲葉伊代守がいて、城を創り出すと、一気に相手が攻めて来
く、城も1ヶ月やそこらで出来るものでもない。しかし、稲葉山の城を落すには、ここに
城を構え抗戦出来る体制にまで持っていかなければならない。そこで、知恵を働かせた秀
吉は、この場で城を造るのでなく別の安全な場所で城のパーツを組み立て、プレハブの様
に予め造っておいたそれらの建築部材を現地で組み立てるだけという体制に持って行っ
た。築城の途中、相手も、何度か様子を見て脅しを仕掛けて来たが、秀吉という存在を下
に見ていた事と、城が簡単に出来る筈もないという思い込みから本気で攻めて来なかっ
た。
そんな中、わずか3日後には本当に秀吉は城を作り、信長の大群が助っ人で駆けつけたかan>
の様に嘘の旗を何本も掲げて、相手を怯ませるのである。そこからは、秀吉ペースで信長
も駆けつけ、蜂須賀小六や佐々成政と共に一気に攻めたという話である。
逸話の中には嘘か誠か、大勢の表具師をかき集めて、城の絵の大煙幕を張って敵の目をく
らましたという話もあったが、まるで手品師の様に、目の前に突然、城を構築させてしま
った意外性の基で戦況が一気に変わったという事は間違いない。」
ここで考えさせられたのは、やはり意外性の実現と、その取っ掛かりの大切さである。
何も変化しない店頭は、その店の経営者の店に対する心の現われである。
形だけでも、まずは一夜にして店頭を変えて見ては如何だろうか?
お金をかけずに変化出来る事なんて沢山あり、何よりも目の前を歩くお客様にとって刺激になる。
そしてそれが取っ掛かりとなって、サービスの見直しや商品構成にも広がって行くのではないだろうか?
僕が競合店の店長なら、相手の城が一夜にして変化していたりすると、次は何をして来るのかと不安になりますけどね。
一番、競合店にとって怖いのは意外性。そしてお客様にとって楽しいのも意外性なのだ。