いかなる個人よりも
昨日と本日は、年に1度の全社研修会が開かれた。
2日間、様々なコンサルタントの話を聞かせて頂き、非常に勉強になった。
「いかなる個人よりも全員の方が賢い」という事に間違いはなさそうである。
例えば、現在一つの車のモデル開発にも、どれだけのデザイナーが係り、一つの建物の建設にも、どれだけの建築家が係っているのだろう。
昔みたいに、部屋に籠もって黙々と考え続ける引きこもり芸術家スタイルでは、もはや連携されたチームには適わない時代に入ったのかも知れない。
そんな事を感じながら、昔、習ったインテル共同設立者であるGordon E. Mooreが提唱した「ムーアの法則」を思い出していた。
インテルは、パンパッパッパッパン!というCMでもお馴染みで世界中のパソコンに「intel inside(インテル入っている)」というラベルが貼ってある。
アップルのジョブズの様なデザイン性とかでなく、コンピューターの中に入っているボードの中、更に中に入っている微小なチップに対してブランドを完全に構築している怖ろしい会社である。
そんな設立者のムーアは、1965年時に「半導体チップに集積されるトランジスターの数は約 2 年ごとに倍増する」という将来を予測するものを掲げ、現に当初は2200個のトランジスターしか集積出来なかったものが、今や法則通り10億個にまで達している。
つまり、どんなに巨大だと思われた企業であっても、技術的な優位だけでは永遠に続かず、同じ考え方だけでは、直ぐに追いつかれてしまう。
それだけ倍倍で技術というものは進歩して行くものだから、そこでの勝負には限界が必ず来ると提言しているのだ。
それを回避するには、やはり違う見方を出来る将来像から見た考え方にシフトする必要があった。それが有名なデザインチームが掲げた「フユーチャー・ビジョン」であって、映画の様なシナリオをチップ会社が製作したのである。
簡単に言うとモバイルを使った日常生活の将来像を鮮明に描き出し、そこから、どういう分野で、このチップが活用出来るかを独占的な見方へとシフトしたのだ。
外国の人と会話をする際、自分の話す言葉がリアルタイムで翻訳されたり、 t>正確かつ瞬時にデータベースから顔が認識されたり、車の運転でも口頭だけで最も空いているルートで安全に目的地まで案内したりというものから、とんでもない世界まで、チップの可能性という物語を明確に描き出したのである。
多分、これらの発想は技術者では出ないだろう。何人集まっても技術者だけの会議では、トランジスターの数を増やす事しか議題に上がらない筈である。
それも、これも異業種の考え方を取り入れ、どう魅せるかという観点に置き、新たな発想で思考してみること。
これが次なる発想を生み出す切り口になるのだろう。