小商圏の活き方
社長、奥さん、そして従業員さんの3名で年商が約1億円で自社物件。店頭は、メガネが中心で宝石の在庫は極力少なくし、宝石の売上は、ほぼ経費をかけない店内イベント時に4000万円ぐらい作るという様なお店があります。従業員の人数の多少はありますが、私の考える中小商圏に位置する路面店や旧商店街のお店が最初に作る形がこれで、無茶をしなければ確実にお金が蓄積出来る強い業態だと思います。
それに対して、イオンモールやダイヤモンドシティにテナントで出店する折には、まず保証金を坪当たり200万円(25坪だと5000万円)支払い、売上歩合と共益費を合わせると毎月200万円では効かない賃貸料が掛かり、土日のブライダルを売る為にはゼクシーに毎月掲載料80万円支払うのですが、それだけでは売上が足りないので店内催事を連発します。また22時SCが営業している為、従業員は2交代制で早番、遅番と2倍の人件費が掛かるだけでなく、従業員からの不平不満も多く、接客教育しかないと店長が問題解決や売上作りにあたふたと動き回っています。
確かに売上金額やそこに入店出来ているというステータスとして大きいとは思いますが、それでどれだけ会社にお金が残るのでしょうか?
別に路面店が良くてインショップが合わないと言っている訳ではありませんし、私の支援先の中にはイオンやダイヤモンドシティに出店されている会社も多々あり、2000万、3000万円の売上を上げ、確かに利益を出しているのですが、数字に対するプレッシャーが先の店舗と比べても全然違いますよね。
ここで言いたい事は店舗というものは、あくまでも収益を上げる為の装置みたいなものであって、ダイヤモンドシティに出店しているから、あの店が凄いだとか、旧商店街の路面店だから既に終わっているというものではなく、そこでどういう営業を営むかが経営者に問われているだけだと思うのです。
本日、お伺いした店舗は、社長、奥さん、従業員さんの3名体制で1億近く売上を上げている旧商店街の路面店なのですが、小商圏ならでわの、きめ細かな営業をしています。
例えば、昨年の年末に店内イベントで900万円近く宝石の売上を上げられたのですが、そこに来店されたお客様へのイベント後のフォローをお聞きしました。
まず、イベント後に、購買頂き、いつもお世話になっているお客様を東京にご招待して、ホテルから食事から交通費まで全て自社が負担して楽しいツアーを組みました。
展示会に合わせるとか、そんなものではなく、ただ単純にお客様に楽しんで頂きたい感謝の気持ちを示したものでした。
そのお客様は、自分で普段東京にも出る機会もなく、田舎ですので宝石を付ける場もない為、東京に詳しい奥さんが、様々な観光プランを組み終始テンションも高く非常に喜ばれたみたいです。
次に、イベントで購買して頂いた何人かのお客様をお食事に誘いました。
その時、ご招待したお客様全員が、イベントで購入した宝石を着けてこられ、宝石話で盛り上がり凄く楽しい一時をワイワイ過ごされたそうです。お礼に何通もの手紙やプレゼントを店頭まで持ってこられたそうです。
そして、招待しなかったお客様に対しても1人1人に直筆の絵手紙と東京等で有名なお菓子を送ったそうです。
最後に驚かされたのが、今回イベントには来店されませんでしたが、購買されなかったお客様に対してです。普通、イベントで購買されなかったお客様に対してフォロー出来ていないお店が多々ある中で、このお店はお客様が、購買されなかった事を万が一気にされているといけないので、気持ちが和らぐ様な手紙を全員に出し、次回も参加しやすい様な文面でフォローしているというのです。
これらは、まさに限られた街の中で商売を営む小商圏商法で、お客様1人1人に対してきめ細かなサービスを展開し、お店が持つ顧客姿勢を全面的にアピールされているのでしょう。
どんな時代になっても、最後に生き残れる会社というものは、どこに出店していようが、どんな商品を扱っていようが、どんな接客をしていようが、お客様1人1人を大切に考えるだけでなく、決してお客様に対して手を抜かない会社であることは、間違いないことだと思います。