情熱を失った時
ゴルフファンであれば、誰もが信望していた20世紀最強の「帝王」と称されたジャック・ニクラウスが2005年に引退しました。彼は強いだけではなく、人間的な魅力も兼ね備えており65歳まで現役で活躍し、最も敬愛されたゴルファーでした。
そんな彼が30歳の時のマスターズで優勝した戦いは、歴史に残る逆転劇で、ご存知の方も多いと思いますが池に落ちたボールを彼は裸足で池に入り水しぶきを上げながらピン側1mにまで寄せたスーパーショットで優勝を決めたのでした。
そんな彼にその時、ある記者が「優勝おめでとうございます。ご自分ではいつまでプロで戦えますか?」的な質問を投げかけたのです。多分、記者としては、ゴルフの「怪物」みたいなニクラウスですので「死んでも」と言う様なジョークを期待していたのかも知れませんが、その時にニクラウスは「プロというのは、皮袋の中に情熱を一杯詰め込んでいるようなものだ。そして試合の度に、詰め込んだ情熱を一滴一滴出していっている。私の場合は不幸にして若い頃から、たくさんの試合に出てきている。したがって、今の私の皮袋に残っている情熱は、少ないのかもしれない。だから、残り少ない情熱を自らどうやってかきたてられるかどうかが、私のプロ人生においての全てにかかっているのだと思う」と答えたのです。
どんな経営者も仕事に情熱を感じられなくなった時に引退が迫ってきているのかもしれません。これは、決して年齢ではなく、心が決めているのです。