モノと感情
「良いメガネを置けば、売れるとは限りません。売れたメガネが良いメガネなのです。」
とは、商売人の考え方の根底に流れる部分です。私達は職人ではありません。商人です。商人である以上、商品の開発コンセプトから、造りのこだわりを100%伝えきることなんて到底、不可能なことです。
つまり、どんなに品質や機能性が優れていて、手が込んでいたり、有名デザイナーを起用していたとしても、お客様がそこに価値を見出さない限り商品としては、決して売れないものです。
人は理屈で納得し、感情で行動を起こします。仮にお客様が理屈で動くのであれば、ペットボトルのお茶が5本ある中において味が似たようなものであれば最も安くて量が入っているものが1番売れるはずです。しかし、現実は、そんな事はありません。つまり、良いモノ、悪いモノという価値観は、品質や成分という部分よりも、その人自身が受けた感情によって変化しているだけです。メガネにおいても同様で「このフレーム落ち着いているね」「このフレームかっこ良いね」「このフレーム可愛いわ」。全て、そのフレームに対して出てくる言葉は、その人の感情から出てきています。それをいかに共感へと持っていけるかが、接客の醍醐味であり、商人としてのコミュニケーション能力の高さであるのだと思います。今、店頭に眠っているフレーム、あなたは、どんな感情を抱いていますか?